← INTERVIEWS

UPXRIGHTS - The People Who Kept the Scene Alive

UPXRIGHTS - The People Who Kept the Scene Alive

UPXRIGHTSは、1996年にフランス南西部トゥールーズで結成された、Straight Edge/Youth Crew系ハードコアバンドだ。

1990年代のヨーロッパに広がったYouth Crewの流れを受け継ぎ、速さ、メロディ、ポジティブなメッセージを中心に活動。正式リリースは2007年にオランダのCommitment RecordsからEP"Old School Revenge"のみと、寡作なバンドではあるが、常にライブを活動の主戦場にし、BANEやHave Heart,近年ではLIFE FORCE,MORAL LAWといった海外バンドがフランスでプレイする際には欠かせない重要アクトとして存在感を発揮している。

2026年は結成30周年に当たる。この節目となる年にシングル"Confrontation"をリリースし、現在フルアルバムに向けて準備中との事で、改めて彼らの事やフランスのシーンについてなど、vo.のQuentinに話を聞いた。



https://upxrights.bandcamp.com/album/old-school-revenge



ovz: はじめにあなたとUPXRIGHTSの事を教えていただけますか?96年から活動されているとの事で、私にとっては大先輩なので、背筋が伸びる思いです…



Quentin from UPXRIGHTS (以下 Quentin) では、まずは僕たちのことを少し……。UPXRIGHTSは 1996年から活動しているんだけど、振り返ってみると、これほど長い時間が経ったというのは本当に信じられないことだよ。ハードコアパンクへの情熱から始まったものが、今では人生の大きな一部になっている。これまでの活動を通じて、素晴らしい人たちと出会い、さまざまな国でライブを行い、一生続く友情を築き、本当に多くの素晴らしい経験を分かち合うことができたんだ。

でも、活動を始めた初日から、ずっと変わらないものがひとつある。それはStraight Edgeとしての価値観だよ。それは常に僕たちという存在の中心にあったし、今でも自分たちのアイデンティティを形作る根本的な部分なんだ。僕たちにとってStraight Edgeは、単なるライフスタイル以上のものだよ。

それは、自覚的に選択すること、自分自身に正直であり続けること、他者を尊重すること、そして自分たちが信じるもののために立ち上がることを意味している。そうした価値観を、僕たちは音楽と行動を通じてずっと守ってきた。そして今でも、それが活動を続ける大きな原動力になっている。もちろん、長い年月の間に、僕たち個人の生活も、シーンそのものも大きく変化してきた。だけど、音楽を始めた理由は、今でもほとんど変わっていない。僕たちにとって、ハードコアシーンの一員であることは、単に音楽を演奏することだけじゃない。そこには人々との出会いやつながり、友情、共有してきた経験、そして自分たち個人を超えた、もっと大きな何かに属しているという感覚があるんだ。

僕たちが今でもここにいるのは、心からこの活動を愛しているからだし、自分たちが掲げているものを今でも信じているから。そして、まだ伝えたいことがあるからなんだ。表現したいことがあって、活動を続けるエネルギーがある限り、これからも続けていくよ!

そして、君のような人や、UPXRIGHTSの仲間たちと出会えたことを、本当に嬉しく思っている。まさに、こうしたつながりこそが、このシーンを特別なものにしているんだ。


External media




ovz: 私の音楽の好みもあるのですが、フランスのシーンはABSONE,Primal Age,STORMCORE,PROVIDENCEといったヘヴィなサウンドのイメージが濃くて、恥ずかしながら、あなた達のような正統派のyouth crewバンドの認識が、まだまだ薄いのが実情です。あなた達が30年に渡って活動してきたシーンについて、是非知りたいです。90年代から2026年まで、フランス国内で、もっと知っておくべきバンドや、これはもっと他国に知られても良いと思うシーンの側面はありますか?



Quentin: 恥ずかしがることなんてないよ。それがYouth Crewの宿命だからね。僕たちはライブに現れて、12分間演奏して、みんなが水を飲み終わる前に帰っちゃうんだから。いや、コーラを飲み終わる前かな(笑)

君の言う通り、フランスのハードコアは海外ではヘヴィな方面がよく知られている。でも、フランスのシーンは昔から、それだけにとどまらない広がりを持っていたんだ。

Youth Crewの方面を掘り下げたいなら、まずは Seekers of the Truth から聴いてみてほしい。

External media

彼らはフランスのYouth Crewを代表する存在だったし、とても親しい友人なんだ。彼らは僕たちのために本当に多くのことをしてくれた。彼らのサポートがあったからこそ、自分たちだけで活動していたら得られなかったほど、多くの人たちに僕たちの存在を知ってもらうことができたんだ。それから、Right for Life もチェックしてみてほしい。彼らも同じ時代のムーブメントを担っていたバンドだよ。

External media

現在のシーンについては、正直に言うと、僕も今のフランスのYouth Crewシーンをそれほど詳しく把握しているわけじゃないんだ。ひとつ紹介できるバンドがあるとすれば、Offensive だね。彼らはYouth Crewをやっているんだけど、Straight Edgeではないんだ。僕たちの世界では、これはちょっとした意外な展開なんだけどね(笑)もし君がほかのバンドを知っているなら、ぜひ教えてほしいよ。

External media

それから、フランス国外でもっと評価されるべきものが何かと聞かれたら、DIYの側面 を挙げたい。小さなライブハウスでショーを企画する人たち。ディストロを運営する人たち。ZINEを印刷する人たち。金にもならないのに、午前3時にバンを運転している人たち。この30年間、シーンを生き続けさせてきたのは、そういう人たちなんだ。

どんな「ビッグな」バンドよりも、ずっとね。



ovz: ライブの企画者、レビューやZINEを書く人たち、レーベルやディストロを運営する人たち、そういった人たちも、バンドとは明らかにやる事は違いますが、私は人間が生活する事自体にもリズムや展開があると思っていて、それが一種の音楽だとしたら、先に挙げた人々も欠かす事の出来ないプレイヤーだと考えています。あなた達がそういったDIYの実践者たちに敬意を払っている事に深く感謝します。

少し話題を変えて、先日久しぶりのシングルをリリースしましたね。UPXRIGHTS節は健在、D.C.や7 secondsといったオリジネーターにyouth crewの強かさの相乗効果が絶妙な一曲でした。30周年に向けて、さらなる新作も準備中との事ですが、そこに至った経緯や、どういった内容になるのかなど、ご自由に語ってください!



External media



Quentin:  とても嬉しい言葉だね。日常生活そのものが音楽だという考え方には、全面的に同意だよ。ライブを企画する人たち、ZINEを書く人たち、ディストロを運営する人たちは、シーンにおけるリズム隊のような存在だよね。彼らがいなければ、バンドなんてリハーサルスタジオで数人の男たちが叫んでいるだけだからね(笑)

シングルについてだけど「Confrontation」は10月26日にリリースしたんだ。そこに7 Secondsや初期のD.C.ハードコアの精神を感じ取ってもらえたことは、本当に嬉しいよ。なぜなら、それこそが僕たちの原点だからね。

ただ変化するためだけに作り変えるのではなく、あくまでも自分たちらしいサウンドを鳴らしたかったんだ。今回の活動に至った理由についてだけど、世界的な経済情勢、政治家たちの冷笑的な態度、そして環境問題への警告が無視され続けている現状。こうした問題があるからこそ、自分たちの問題意識を声に出し、「行動を起こすには、まだ間に合う!」と訴えることが不可欠だと考えているんだ。音楽は自己表現の手段であり、そのために音楽を使っているんだ。

バンド結成30周年という節目は、活動するための良い口実でもあるよね。でも実際には、次の世代を支えるための活動でもあるんだ。まだまだ経験したいことが山ほどあるし、伝えたいこともたくさんある!


"Young until I Die!"


新しい作品に何を期待してもらえるかって?

2027年には、僕たちを信じ、同じ価値観を共有してくれる素晴らしいレーベルたちと共に、全10曲入りのアルバムをリリースする予定だよ!ライブの日程やフェスティバルへの出演、そして夏のツアーも控えていて、これからもワクワクするような計画がたくさんあるんだ。これからも、自分たちらしいYouth Crewサウンドを貫いていくよ!



External media




ovz:  30年という長い時間を活動してきたバンドならではの発言の重みと、新しいリリースや予定に向けて胸を躍らせている結成して間もないバンドのような二面性が今のあなた達の魅力ではないかと思います。



Quentin:   30年続いているバンドについて、こんなに素敵な言い方をしてもらったのは初めてだよ。そうだな、僕らにはベテランとしての重みがありながら、初めてのライブが決まったばかりのバンドのような興奮もあるんだ。まあ、腰が痛いのは余計だけどね(笑)



ovz:  そろそろこのインタビューも終わりに近づいてきていますが、ovzは今でこそ音楽の話も聞いていますが、そもそもはシーンに携わる人たちの半生や日常の話も扱っています。そこで、なぜか日本では好評だった話題を聞いてみたいのですが、あなたの好きな食べ物と苦手な食べ物を教えてください。

本当にしょうもない質問なのは承知の上なのですが…



Quentin: 全然くだらない質問なんかじゃないよ! 日本でこの質問が好評だっていうのも嬉しいね!

僕はベジタリアンで、環境問題にも強い関心を持っているんだ。だから、僕の答えには「肉なし」という条件がつくことになるね。僕は大のピザ好きなんだ。堂々と言えるよ(笑)。でも、アジア料理も大好きなんだ。特に、豆腐の扱いを本当によく知っている人が作る料理は最高だね。ラーメンも大好きだし、もっと広く言えば、世界中のヴィーガン料理にすっかり魅了されているんだ。

苦手な食べ物? 正直に言うと、特にないんだよ。どんなものにも新しく発見する価値があると思っているんだ。もちろん、好き嫌いの程度に違いはあるけど、何でも一度は試してみたいと思っているよ。その姿勢は、日本でも大いに役立ったんだ。僕らは2016年に日本を旅行で訪れたんだけど、本当に素晴らしい経験だったよ。ベジタリアン料理を食べられる素敵なお店もたくさん見つけたんだ。

でも、僕が一番感銘を受けたのは日本の文化だった。日本の人たちが持つ敬意や共感、そして思いやりの深さは、本当に素晴らしいものだよ。今回のインタビューでも、君の優しさを通じて、そのことを改めて実感しているんだ!僕にとって、そういうことはとても大切なんだ。

というのも、僕は普段、葬儀カウンセラーとして働いているんだ。人生のつらい時期を迎えている人たちに寄り添い、支えることが僕の仕事だよ。だから、誰かがそういう思いやりを持って接していると、僕にはすぐにわかるんだ。そして、それはハードコアシーンが持つ最も素晴らしい部分とも、決してかけ離れたものではないんだ。



ovz:  私もovzの活動で世界中の人とやりとりしますが、日本人はちゃんとしてるなあと思う事が多いです。ただ、思いやりが過ぎて、自己主張が下手くそだなと感じる事もあります。これはきっと同族嫌悪ですね笑

食に関する事もですが、あなたのお仕事を聞いて、名誉や誇りとは一見結びづらく、目には見えなくても、何が大事なのか、あなたが自分の内面で納得が出来ている事から来る思慮深さが、今回のインタビューの底流にあると合点がいきました。

名残惜しいのですが、これが最後の質問です。今まで沢山語ってもらいましたが、インタビュー定番の「最後に一言」をお願いします!



Quentin: ハードコアバンドのインタビューを受けていたはずなのに、最後には自分自身を映し出す鏡を突きつけられることになるなんて、思ってもみなかった(笑)  でも、ありがたく受け取るよ。

2016年に僕が出会った日本人たちについては、君の言う通りだと思う。本当に思いやりの深い人たちだった。それに正直なところ、他人を思いやろうとすること自体は、決して悪いことじゃないと思うんだ。大切なのは、いつ「いや、これは僕にとって大事なことなんだ」と言うべきかを知ることだと思う。そして、それは学ぶことができる。僕はハードコアから、かなり早い段階でそれを教わったんだ。10代の頃、自分がストレートエッジでいることを理解してくれない人たちに囲まれながら、それでもストレートエッジであり続けると決めたら、自分の意志を貫くことをすぐに覚えるんだよ。それも、礼儀正しく、大げさに騒ぎ立てることなくね。

それから、本当に大切なことについてだけど、僕は人生で最もつらい日々を過ごしている家族たちと向き合う仕事をしている。華やかな仕事じゃないし、誰かが拍手を送ってくれるわけでもない。それは、30年間活動してきても、決して大きな成功を収めることのなかったバンドだって同じなんだ。だからこそ、これでいいんだと心から思える。誰かに強制されてやっているわけじゃない。自分が本当に信じていることでなければ、続けることなんてできないんだよ。


君の質問に答えられたことは本当に嬉しかったし、心の底から、本当に感謝するよ。UpXRightsの30年間を振り返る素晴らしい機会にもなったしね。2027年には新しいアルバムをリリースする予定だから、完成したら必ずまた君に連絡する。日本にも、できるだけ多くのストレートエッジの若者たちがいてくれることを願っているよ。


これからもOVZでの素晴らしい活動を続けてほしい。力強いシーンを、より良い人生を、そして地球や人間、そこに生きるあらゆる生命を尊重する価値観を、これからも信じ続けてほしい。


ポジティブであり続けよう。強くあり続けよう。そして、自分の信念に忠実であり続けよう。XXX

Quentin & UpXRights 



本文中の画像はUPXRIGHTSのInstagramから使用させていただきました。ありがとう!