
長年、インドネシアのハードコアを追っているけれど、近年そのクオリティは欧米にも引けを取らないレベルにまで成長している。日本人には音楽未開の土地だと思う人もいるかもしれない。でもそれは大きな間違いだと声を大にして言いたい。日本の倍の人口、半分以下近い平均年齢。まさに理想のユース・カルチャーが渦を巻いているのがインドネシアだ。今回はその中からNo Match Recordsにシーンの外観や簡単ながら人となりについて語ってもらった。
Q: 最初にハードコアにハマったきっかけは?
ちゃんと全部話すとね、最初にハードコアに出会ったのは、blogspot経由で音楽をダウンロードしてた頃なんだ。当時最初に聴いたのはHatebreedで最初の3枚のアルバムだね。でも正直、最初はあんまりピンと来なかった。ギターでガンガンくるヘヴィな音楽は全部メタルだと思ってたから。
でも時間が経つにつれて、地元のシーンがどうなってるのか気になり始めて、モールの中にあったパンク/メタル系のディストロに通うようになったんだ。そこでJakaっていう友達と出会って、彼がそのディストロのオーナーで、最初に「バンドやらない?」って誘ってくれた人でもあるんだ。彼と一緒に初めてのバンドを始めたんだ。ジャンルはグラインドコアだったよ。
そこから完全にハマっていって、クラスト/グラインド/パワーバイオレンス系を掘るようになったよ。Disrupt、Nails、Magrudergrind、Left For Deadとか、そういうバンドに出会ったのもその頃だね。
そこからはもう雪だるま式にどんどんハマっていって、もっといろんなバンドを掘るようになったよ。よりメタリック寄りだったり、よりヘヴィだったり、とにかく深くね。
ハードコアの攻撃的なサウンドとグルーヴ感が大好きだし、それと同時に、シーン全体が大事にしてるコミュニティ感や精神性にも強く惹かれたんだ。
Qなぜレーベルを始めようと思ったのですか?
最初はただ、地元の友達やバンドが何かリリースできるように手助けしたかった、それだけの理由でレーベルを始めたんだよ。
レーベルやファンジンをやりたいっていう気持ちはずっと前からあったけど、実際に形にできたのは2年くらい前だね。影響を受けたレーベルもあって、たとえば Streets of Hate や From Within Records なんかはすごくインスピレーションをくれたよ。
・あなたのレーベルをどう紹介・宣伝しますか?
レーベル名は No Match Records。

インドネシアのマナドを拠点にしている。ハードコアのレーベル兼ファンジンだよ。スラウェシ・ハードコア代表って感じでやってるんだ。
Bandcampページでリリースをチェックしてみてほしいし、最新情報はInstagramをフォローしてくれたら嬉しい!
Qインドネシアのハードコアシーンについて、地元だけじゃなく全国的に見たときの印象は?
インドネシアのシーンは本当にでかいよ。国が島ごとに分かれてて、それぞれの地域に独自のスタイルがあるんだ。

今はビートダウンやメタルコアのムーブメントが盛り上がっていて、特にジャワ島が熱いね。個人的には、90年代後半から2000年代初頭の日本のシーンを思い出すんだ、特にモッシュの仕方とかが似てるよ。もちろん、オールドスクール寄りのクラシックなスタイルのバンドもまだまだいて、たとえば Italian Bed、House Arrest、Expect、Karmax とかがいるよ。スマトラ島にもMadafaka Records みたいなレーベルがを支えてるヤバいシーンがあるよ。
ボルネオ島なら、Spitting Demon(めちゃくちゃ重いバンド)や、United Stance Records っていうレーベルが要注目かな。
スラウェシ島も今かなり熱くて、特に有名なのは Defy。
でも他にもチェックしてほしいバンドがたくさんあるよ。まずは「Sulawesi Hard Compilation」から聴いてみて、ストリーミングでどこでも聴けるよ。
https://sulawesihardcompilation.bandcamp.com/album/sulawesi-hard-compilation-vol-1
要するに、インドネシアではどんなスタイルのハードコアも見けられるんだ。国内だけでも十分なくらい大きなツアーができるくらいだよ。でも正直言って、このジャンルはここでは“でかくなりすぎた”かもね、TikTokとかの影響でね。でも新しいキッズたちがシーンに入ってくるきっかけになるなら全然OKだと思ってるよ。今でもちゃんとリアルを貫いてるバンドやレーベルがたくさんいるからね。
Q: あなたにとって「ハードコア」とは?
ベタな言い方かもしれないけど、本当に自分の人生そのものだと思っているよ。ハードコアを通じていろんな場所の友達ができたし、人前で話す勇気すらこのカルチャーからもらったんだ。
考え方とか、物事の捉え方、人との接し方、マネジメントや問題解決の仕方――全部ハードコアが自分を形作ってくれた。他のどんな音楽ジャンルでも、こんな影響は与えてくれなかったと思う。
ハードコアは「やりたいならやれ」って教えてくれたよ。ギター弾けるようになりたい?だったらやれ。レーベルやりたい?やればいい。自分のイベントにバンド呼びたい?やれよ。全部DIYでやれって。
それから、自分はストレートエッジなんだけど、それもハードコアのおかげでそうなれたよ!
◼︎あとがき
正直なところ、バンド単位では数が多過ぎて取り上げきれず、敢えてレーベルとして、親交の深いNO MATCH RECORDSに今回は登場して貰いましたが、インドネシアはまだまだシーンは大きく、触れていない部分が沢山あるのも確かです。
機会があれば、更なるレーベルに登場しかて貰いたいと思っている次第なので、続編(あったら)をお楽しみに!